月の模様
夜空に輝く月は、地球から見える天体の中で一番大きく印象的に見えます。昔から、人は月を見ながら、いろいろな想像をしてきました。その想像をかき立ててきたのが、月の表面の模様です。
月の表面には、クレーターがあります。これは、月に隕石がぶつかってできた大きな穴です。大小さまざまありますが、大きいものは直径が230kmもあります。
また、月の表面には、クレーターばかりではなく、棚のようになっている高地が広がっていたり、逆にくぼんだ平野が広がっている場所もあります。
月には、海と呼ばれる部分がありますが、月には海がありません。なにしろ、昼は110度、夜は−170度という環境ですから、液体の水が地球のように当たり前に存在する世界ではないのです。海と呼ばれてはいますが、地球のように水がある海ではなくて、地球から見て黒っぽく見える広い範囲を月の海と見立てて、そう呼んでいるのです。
月の海が黒っぽく見えるのは、岩石の性質によるものだそうです。玄武岩という岩石は、地球上にもあって黒っぽい色をしていますが、これと同じものが月の表面にもあり、それが大きく広がっているのです。この部分は、太陽の光を反射しにくいので、黒っぽく見えます。
むかしから、この黒っぽい部分、月の海の形を、いろいろなものに見立てて、伝説や童話などが語られてきました。
日本では、ウサギの餅つきといわれますし、西洋では大きなはさみを振り上げたカニに見立てたり、編み物をする老婦人、ひきがえる、婦人の顔というものもあります。
地球から見た月の模様は、何千年、何万年と変わらないはずですが、見る国、見る人の事情や気持ちによって、いろいろなものが浮かんでくるのでしょうね。